白山周辺(石川) 松尾山(1163.0m) 2024年4月28日(日)  カウント:画像読み出し不能

所要時間 3:46 駐車箇所−−3:48 登山口−−4:01 尾根に乗る(標高410m付近)−−4:50 837m峰−−5:53 松尾山−−6:44 837m峰−−7:09 尾根を離れる(標高410m付近)−−7:14 登山口−−7:18 駐車箇所

場所石川県白山市
年月日2024年4月28日(日) 日帰り
天候快晴
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場登山口より100mほど奥の林道路側に駐車余地あり
登山道の有無あり。ただし登山口は不明瞭で尾根に乗るまでの杉植林帯の道は薄い
籔の有無ほぼ無し。体に軽く触れる笹や木の枝程度しかない
危険個所の有無無し
山頂の展望無し
GPSトラックログ
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コメント大型連休2日目の山。最初はセイモアスキー場を通る林道から登ろうとしたが入口に車止めがあり断念。次に笠山南東をトンネルで抜ける林道から登ろうとしたが、ここも入口に車止めがあって断念し、瀬波川沿いの林道を進んでキャンプ場前のエイ谷左岸尾根にある登山口から登った。入口は非常に細い道で植林帯に入っても道が薄いままで先が心配になったが、尾根が明瞭化して以降は立派な刈り払いされた登山道に変わり、少なくとも松尾山東鞍部まで良好な道が続く。山頂は緩やかで広く残雪に覆われて最高点は不明瞭だが、三角点よりも東側が高いことは間違いない




キャンプ場より奥の林道路側に駐車 松尾山登山口。道は薄く案内標識無しで見つけにくい
土の法面を登ると目印登場 尾根に乗るまでは概ね杉植林が続く
標高410m付近で尾根に乗ると道が明瞭化する 月がきれいに出ていた
標高530m付近 標高770m付近のトラロープ
標高830m付近。ライト不要な明るさになる 837m峰西側直下の池
837m峰 837m峰を通過して杉植林帯を東へ下る
標高800m付近で左へトラバース 770m鞍部
標高840m付近 チゴユリ。あちこちで見られた
タチツボスミレ 標高920m付近
ショウジョウバカマ 標高970m付近で尾根に乗る
標高970m付近で初めて残雪を見る マンサク
タムシバ 標高1070m付近
標高1120m付近 1130m鞍部。松尾山まで0.2kmの標識あり
1130m鞍部から松尾山方向を見ている 猿の足跡
標高1160m付近 松尾山山頂部
この雪が無い箇所が最高点と思えた。標識無し 最高点から南を見ている
1130m鞍部から東の展望台へ向かう 稜線北側は残雪あり
猿の群れの足跡 標高1150m付近
1160m峰が展望台 展望台から見た口三方岳と烏帽子山
展望台から見た白山。南側が開けている
1130m鞍部から下山開始 笠山
オオカメノキ ツツジ
837m峰 837m峰西側直下の池
イワウチワはほぼおしまい カタクリ
標高470m付近のトラロープ 標高410m付近で尾根を離れて南へ
目印 もうすぐ登山口
林道へは土の法面を下る 松尾山登山口。これは分かりにくい
ウマノアシガタ。この個体は明瞭な毛がある キランソウ
ニリンソウ ムラサキサギゴケ
キジムシロ ミヤマキケマン
シャガかヒメシャガだが、開花時期と葉の光沢からシャガと同定 駐車箇所
オンソリ山 エイ谷登山口の案内標識。ここを松尾山登山口と間違えそうになった


 大型連休初日は口三方岳と烏帽子山に登り、下山後は翌日はどこに登るか地図を見ながら考えた。初日で足の重さが異常できつい山は届きそうにないことが発覚し、初日の疲れが残っている2日目は更に負荷を下げる必要がある。近くの山で登山道があって標高差1000m以内との条件で検討した結果、松尾山が候補に上がった。

 ここは無雪期にも登られる山なので夏道があるのは確実。一番楽に登れそうなルートは北西側のセイモアスキー場内を通る林道を上がってスキー場上部から1073m峰を経由するルート。雪の影響で林道がどこまで上がれるか不明だが、車で上がれた分だけお得になる。次の候補は笠山南東をトンネルで抜ける林道を起点とするルートである。この林道は西斜面に付いているので雪が消えている可能性が高く、笠山もおまけに登れるメリットがある。しかし松尾山まではいくつもピークを越える必要があることと距離が長いのがデメリット。最後が瀬波川沿いの林道を入ってエイ谷左岸の尾根を登るルート。起点の標高が低いのが難点だが、おそらく登山口まで車で入れる確率が一番高く、距離はおそらく一番短くて済む。

 最初にセイモアスキー場へ向かったが林道入口にはユニコーンの車止めがあった。手で動かせるものだがスキー場は私有地であり、所有者が車の進入を禁止しているのでは仕方ない。次に笠山南東を通る林道だが、ここも入口には鎖の車止めがあり関係者以外入禁止の表示が。この車止めも施錠されているわけではなく手で外せるものだが、交通量が多い国道脇の衆人環視の下で入る精神的図太さは私にはない。ということで最後の選択肢のエイ谷左岸尾根から登ることにした。

 瀬波川沿いの車道も車止めが無いか心配だったが、こちらは人家があるし先にはキャンプ場があるようでゲート等はなく一般車の通行も問題なし。道幅は狭いが舗装されていて安心して走行できる。人家が終わってどんどん奥へ入っていくとエイ谷出合には何とキャンプ場ができていた。ここには登山口の標識と案内看板があったが、そこに出ていた山名が松尾山ではなくオンソリ山となっていた。カタクリの群生地を紹介した案内看板にはルートが書かれていて、それによるとエイ谷の右岸側を登ることになっいた。ということはオンソリ山とは890m峰を指しているようだ。エイ谷左岸尾根末端はキャンプ場になっていて取り付くことはできないので、林道沿いにどこか尾根に取り付ける場所がないか探すと、キャンプ場が終わってすぐの土の法面に薄い踏跡とピンクリボンが登場。どうやらここが夏道入口のようだ。最初から道のグレードは期待していなかったが、標識等は無いし想定どおりの踏跡程度の道らしい。

 登山口付近はキャンプ場の敷地なのでもう少し先に林道を進み、橋を渡る直前の道幅が非常に広くなった場所に駐車した。ここならキャンプ場からは影になって見えないのでトラブルになることも無いだろう。なお、この林道は橋を渡った先に車止めがあったが、ここは通行禁止ではなく工事による通行止めにご協力下さいとの書き方であった。

 今日は昨日よりも天気が良くて気温が上がる予報となっていて、できるだけ早い時刻に山頂に立って涼しい時間帯に下りたいと考えて、まだ真っ暗な3時半過ぎに出発とした。気温は昨日同様に朝から高めであり、今回は出発時から半ズボンとした。上半身の防寒装備も昨日よりぐっと減らして長袖シャツにウィンドブレーカ、それに雨具とした。雨具は防寒対策と藪に着いた朝露対策兼用である。さすがに体に藪が触れないような完璧な刈り払いの道は期待しない方がいいだろう。足元は今回も軽量化のために長靴は止めて登山靴にした。そして足を藪から保護するためにロングスパッツを装着した。

 LEDライトで照らしながら林道を下流方面に100mほど歩いて急な土の法面の踏跡に取り付く。流してあるトラロープとピンクリボンの目印が心強い。もしかしたら思ったよりもまともな道なのかもしれない。法面を登ると杉植林帯に入り植生が薄くなって逆に道が分かりにくくなるが、経験を積んだ人間ならライトの光でもルートを失わない程度の濃さはあった。ここでも点在するピンクリボンが役に立つ。ここもかなりの急登で体が発熱し、毛糸の帽子と手袋、ウィンドブレーカを早々に脱いで夏の北アルプスと同じスタイルになった。おそらく気温は+10℃くらいで北アの朝の気温と同じくらいであろう。この温度でも急登では暑く感じるもので、片手に持った扇はフル稼働であった。しかしこの気温では登りでもほとんど汗をかかずに済む。

 植林帯の薄い道をぐんぐん上がって標高430m付近で自然林に変わると尾根が明瞭化して道もはっきりする。周囲は落葉樹や照葉樹の藪だが道だけは全く藪は無く、かなりきれいに刈り払いしたのは間違いない。この規模の整備は個人ではまず無理であり、団体か自治体レベルで行ったに違いない。しかし登山口にもルート上にも標識は全く見られなかったので、地元自治体の可能性はほぼ無いだろう。足首程度の低い笹が足に触れるが、この程度は許容範囲だろう。毎年刈り払いするのかそれとも数年間隔なのか分からないが、この後の藪の張り出し方からして毎年手入れしないとこのレベルにはならないだろう。まだ雪解け直後で今年の手入れをする前なのだと思う。

 まだ日の出前で真っ暗だが、昨日に引き続いてツツドリやトラツグミが鳴いている。特にツツドリはあちこちで聞こえていて、多くいるようだ。ちなみにツツドリは渡り鳥だ。明るくなると小鳥の鳴き声が一気に増える。アオバトの特徴的な鳴き声(南国のジャングルで聞こえそうな声)やカケスの姿も見られた。標高が落ちるとキジバトの声も聞こえた。

 標高670m付近で傾斜が緩んで地形図で現在地が確認できた。この先は概ね傾斜が緩んで適度な運動量に落ち着く。道の良さは全く変わらない。周囲が明るくなってライトが不要になったのは4時45分頃であった。樹林の中でなければもっと早い時間帯にライトが不要になったであろう。

 地形図に記載は無いが837m峰の西側直下にはそれなりの大きさの池があった。北アルプスの種池や冷池より格段に大きいが、もしかしたら雪解け直後のこの時期にしか出現しないのかもしれない。

 837m峰を越えると杉の植林帯に変わってまっすぐ東に下っていく。山頂に続く尾根はもっと左にあるはずだがそちらは自然林で藪が深いので迂回しているのだろう。標高800m付近で左にトラバースし始めるが、ここでも刈り払いは完璧だった。もしここに道が無ければ根曲がり潅木と笹藪だ。

 尾根に乗って770m鞍部を通過。837m峰との標高差は約50mであり往復で標高差100mを余分に登らされるが、この道の良さなら他のルートよりもお得だろう。最低鞍部を通過して山頂への登り返し。ここも完璧な刈り払いだ。登山道脇にはチゴユリ、タチツボスミレ、ショウジョウバカマ、タムシバ、オオカメノキ、マンサクなどの花が見られた。スミレは数が多く全てを確認したわけではないが、標高が低いところから高いところまで概ねタチツボスミレだった。

 968m標高点で明瞭な尾根に乗る。僅かに残雪が現れる箇所もあるが本当にスポット的な小さなもので、今の気温だと溶けて消えるまで数日程度かな。なお昨日の経験から今回は雪装備は持ってきていない。雪が残っているのは傾斜が緩く広い場所に限定されるので、アイゼンもピッケルも不要だろう。結果的にこの予想は正解であった。

 登山道は松尾山山頂に直接上がるルートではなく、東側の1130m鞍部に上がってから主稜線経由で上がる。その1130m鞍部へは最後は谷地形を上がっていく。1130m鞍部でこのルートで唯一の案内標識が登場し、私が登ってきた方向には「瀬波」、山頂方向は「松尾山 0.2km」、山頂と逆方向は「展望台 0.2km」となっていた。当然ながらまずは山頂を目指す。

 鞍部から山頂までは残雪が多く夏道の半分以上が隠れているが、出ている部分を見る限りは1130m鞍部までの登山道と違って道が薄いように思えた。周囲の植生は濃くないので刈り払いをしていないのかもしれない。昨日と同じくまだ雪が残って木の枝が雪に埋もれて道を塞ぐ場所も多く、かえって邪魔で歩きにくかった。

 傾斜が緩むと松尾山の広い山頂部に到着。三角点は最高点の北西側に下がった地点にあるので真の最高点を探す。あらかじめ地図上でここが最高点だろうと思える場所を調べておいたが、実際にはそこよりも北側が真の最高点であった。なお、ここには山頂標識は無く、おそらく三角点がある場所に標識があるのだろう。今回は三角点は明らかに下がった場所にあるため訪問しなかった。おそらくこの残雪状況では雪に埋もれて見えないであろう。

 山頂までの所要時間は約2時間半だったが実際にはほぼ2時間で若干早く到着できた。今回は昨日よりも荷物がずっと少なくて自重がほとんど無い小さなナップザックを担いだ影響か、昨日よりも疲労度は軽かった。これなら重い長靴でも良かったかもしれない。予想以上に道が良好で雨具やロングスパッツの出番も無く、もっと軽量化できたなぁ。今回は水は持ってきたが食料は持ってきておらず、腹も減っていないし喉も渇いていないので飲み食いしないで写真撮影だけしてそのまま下山することにした。

 帰りは往路を戻る。下山時に気付いたが足に微かに筋肉痛を感じた。先週は無かったし平日にも無かったので、昨日の山行が原因だろう。ここまでほぼ毎週山歩きを続けているし、2週間前の内桧岳のようにずっときつい山にも登っている。それなのにあの程度の山で筋肉痛が出るとは異常事態だ。本当に今回の連休中はいつもよりも負荷を下げないとダメだなぁ。

 今回のルートは主に南西向きの尾根のため、朝早く日が低い時間帯では山が太陽をブロックしてくれるので日陰になって涼しいままで大助かりだった。日が当たって暑かったのは鞍部から837m峰への登り返しだけであった。明るくなったので花の写真は下山時に撮影した。

 尾根末端が接近して杉の植林帯に入って道が薄くなるが、今は明るい時間帯であり先が見えるのでルート判断は容易だ。往路では気付かなかったが特にピンクリボンの目印が目立つ存在だった。

 キャンプ場の建物の赤い屋根が見えれば登山口はすぐで、急な法面を下って林道へ降り立つ。私はがんがん歩いてきたので半袖半ズボン姿のままだが、キャンプ場の客は当然ながら長袖長ズボンの防寒装備。車に戻って温度計を見たら+11℃であった。さすがにこの気温では体を動かさないと寒いくらいだった。

 登山口付近では山の中とは別の花が見られた。特にミヤマキンポウゲ似の花が興味深い。花はミヤマキンポウゲと同じだが、この標高ではウマノアシガタと判断するのが妥当だろう。同じ種類の花でも葉の形状のばらつきが非常に大きく、北アでよく見るミヤマキンポウゲとそっくりの切れ込みの深い針状のものもあれば、ヨモギの葉のように切れ込みが浅く面積が広いものもあった。茎の毛も様々でミヤマキンポウゲとそっくりの葉のものは概ね毛が薄くて毛が無いように見えるものもあったが、葉がヨモギ様のものは概ね毛深かった。これらを見る限りウマノアシガタとミヤマキンポウゲを外見で見分けるのはほぼ不可能で、分布域で分けるしかなさそうである。

 紫色の地を這う小さな花は名前は知らなかったが、ネットで調べたらキランソウだった。大型連休中に登った他の山でも多く見られた花だが、長野県では見たことがない。ミソガワソウ似の花は調べたらムラサキサギゴケで、これも白山周辺では多く見られたが長野では見たことがない花だ。黄色の見たことがある花はキケマンの仲間だが、場所的にはミヤマキケマンだろうか。ニリンソウは林道脇にたくさん咲いていた。同じ林道脇では背の低い白いアヤメのような花がたくさん咲いていたが、帰宅後に調べたらシャガの仲間らしい。シャガかヒメシャガと思われたが、開花時期と葉の光沢がシャガに一致した。これも長野では見られない花だ。

 駐車箇所に登場すると後ろには別の車が駐車していた。レンタカーのナンバーであり、私と同じように大型連休に遠くからやってきたのだろう。他にも道端に駐車した車が数台あったが、こんな時間帯ではおそらく釣り客だろう。道端の看板からは釣り客が多い川なのだと分かった。


まとめ
 松尾山の登山道は入口から植林帯は怪しいが、それ以上は予想外に第一級の登山道でちょっと驚きだった。これでも案内標識が無いのはちょっと不思議。いったい誰が整備したのだろうか? 初見の場合、エイ谷沿いのオンソリ山登山口を松尾山登山口と間違える可能性が高いので要注意。

 

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